常滑焼について知っておきたい基本的なこと

常滑焼とは

名前の通り、愛知県常滑市を中心に、知多半島内で作られている焼き物です。釉薬を用いた粉引きや灰釉など、日常使いのシンプルで使いやすい器が人気です。

 

常滑焼といえば急須と言われるほど、常滑の急須は有名で、重要無形文化財に指定され、常滑焼でつくられた急須を使って入れるお茶は、ほかの急須の時と違い渋みや苦みがほどよくまろやかな味わいになると評判です。

 

また、茶こし機能・ツマミの持ちやすさ・フタの密着性の良さ・湯切れの良さは高い評価を得ています。

 

常滑焼の陶器市

毎年8月の第4土曜・日曜に、ボートレースとこなめ周辺・セラモール・やきもの散歩道・イオンモール常滑などの会場で開催されていましたが、2017年、第51回から秋開催に変わりました。

 

常滑焼の窯屋、問屋、作家が集まった大即売会で、10万人以上の来場者で溢れます。

常滑焼を代表する朱泥急須はもちろん、茶器・花器・食器などが安く売られます。

 

常滑焼の歴史とは

常滑焼の歴史は、朝鮮半島から来た「須恵器(すえき)」の技術を受け継ぎ、平安時代末期からはじまりました。

 

丘陵地の斜面に、たくさんの窖窯(あながま)が築かれ、山茶碗、山皿などの古常滑が作られていました。

 

『日本六古窯』には、常滑・瀬戸・信楽・越前・丹波・備前があげられますがその中でも常滑は最も古く、大きい産地とされています。

 

江戸時代の終わりには、現在の常滑焼の代表である朱泥焼の茶器や土管が作られるようになり、大正時代には現在のLIXILである伊奈製陶(INAX)が設立されています。

 

その後、近代技術により大量生産が可能になり、現在では食器や生活雑貨など色々な陶器が作られるようになっています。

 

注目の作家さん

三代山田常山

愛知県知多郡常滑町生まれ(現在の常滑市)。現在の陶器学校である、愛知県立常滑工業高校窯業科で技術を学び、祖父・初代山田常山、父・二代山田常山を師と仰ぎました。

 

朱泥・紫泥・自然釉の古典的なものや北欧のデザインを取り入れたモダンなものまで、100種類を超える作品を遺しました。「常滑手作り急須の会」会長に就任し、後進の育成と急須の発展に貢献しました。

 

1958年 ブリュッセル万国博覧会 日本館第三部陶器類にてグランプリ受賞

1961年 三代山田常山を襲名。

1972年 フランス バリロス第3回ビエンナーレ国際陶芸展にて名誉最高賞を受賞。

1998年 重要無形分家財技術保持者いわゆる人間国宝の認定を受ける。

2005年 逝去(享年81歳)

 

鯉江優次

山源陶苑3代目当主。1975年常滑市生まれ。 地元の高校卒業後、中京大学経営学部に進学卒業後に陶器の総合商社(株)アイトーへ入社しました。東京勤務ののち、2004年に家業を継ぎ、「常滑焼の伝統を継いで、更新する」ことをモットーとしています。

 

オリジナルブランドに、パステルカラーのシンプルでモダンなティーポットたちが人気の「TOKONAME」シリーズ、自分たちが使いたいと思う陶器を自分たちで発信していきたいという思いの「MOM Kitchen」があります。

 

販売・カフェ・陶芸体験のできるTOKONAME STOREオーナーです。

 

常滑焼の特徴

鉄分を多く含む土を生かしてオレンジ色に発色させる「朱泥」が特徴です。

 

中でも無釉の「朱泥急須」は、内側で灰汁を取り、まろやかな味になり、使い込むうちにつやが出てくると言われ人気があります。

 

最近では土肌を生かして黒や緑、黄土色など多彩な色の作品や釉薬をつけた陶器も作られており、これまでの「無釉焼き締め」の特徴を継承しながらも現代の生活スタイルに合った多彩な作品も人気があります。

 

焼き物の産地としての常滑の特徴

やきもの散歩道という観光コースがあり、迷路のような路地を進みながら、焼き物の街独特の雰囲気を感じることができます。

 

窯場、黒い板塀の工場、焼酎瓶・陶器の廃材を使ったでんでん坂や、常滑市指定有形文化財の「廻船問屋 瀧田家」、国の重要有形民俗文化財のレンガの煙突(登窯)、明治時代に作られた土管が使用された土管坂などがあり、レトロで趣があって人気です。

 

常滑焼のお店や工房、カフェなどもあり常滑の雰囲気を存分に楽しむことができます。

 

また、少し時間のある方は、INAXライブミュージアムをはじめとした様々な見学施設をめぐるコースもあります。

 

やきもの散歩道のスタート地点付近には『とこなめ招き猫通り』があり、巨大な招き猫「とこなめ見守り猫とこにゃん」・「御利益陶製招き猫」39体、「本物そっくりの猫」11体が飾られています。

 

中でも巨大招き猫とこにゃんは高さ3.8メートル・幅6.3メートルでとても迫力があります。

 

最後に

常滑焼について知っておきたい基礎知識などをご紹介してきました。900年の歴史のある常滑焼、朱泥急須に代表される特徴や良さを生かし、また新しい作品が生み出されています。

 

レトロで趣のある街並みやINAXの巨大招き猫のとこにゃん、人気の陶器市など、ぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか。

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