信楽焼についてしっておきたいことをまとめました

信楽焼とは?

滋賀県甲賀市信楽を中心に作られる炻器(せっき)で、陶器と磁器の中間のやきものです。

『一窯、二土、三細工』と言われる炎によるグラデーションから作られる色調と風合いが特色で、素朴な味わいとぬくもりが“わび・さび”の趣であるとして長く愛されています。

 

信楽焼の陶器市

毎年10月の体育の日を含んだ3連休に開催されます。

信楽駅前では、窯元が一同に出店する「大陶器市」と、陶芸の森で作家さん達が出店する「セラミックアートマーケット」の2会場で行われています。

 

食器や土鍋、花器や置物などのB級品からセットもの、一点ものまで、さまざまな作品が並びます。

市販される価格の3割引きほどで購入することができるので、あちこちから多くの人が訪れます。

また、甲賀地方の特産品や、地元の食を楽しめるコーナーがあったり、陶芸の森や信楽伝統産業会館でも協賛イベントを行っているので、一日中信楽を楽しむことができます。

 

信楽焼の歴史とは?

信楽焼の歴史は、奈良時代にはじまります。

甲賀郡雲井村から奈良時代に作られたとされる瓦が発見されています。

平安時代以降は壺など日常的に使うものが焼かれ、平安時代末期には緋色の発色と灰釉のが現れました。

室町時代に、佗茶の流行に伴って信楽焼の茶器が「茶陶信楽」として親しまれました。

明治には火鉢や神仏器などの生産が始まりました。

 

昭和に入り火鉢の全国シェアの80%を生産しましたが、高度経済成長による暖房器具の普及により、主力を鉢・タイル・花器・食器・置物など生活に根差した陶器造りに変更し、1976年に伝統的工芸品の指定を受け、現在に至ります。

 

中でも信楽焼のタヌキは縁起物として喜ばれます。

8つの「他を抜く」という意味で商売繁盛を祈願する置物とされており、『八相縁起』と呼ばれる縁起を表しています。

 

笠・・思いがけない災難をさけるため、普段から準備。

大きな目・・周りを見て気を配り、正確な判断ができるよう

笑顔・・お互いに愛想よく

徳利・・人徳を身につける

通い帳・・信用が第一

大きなお腹・・冷静さと大胆さをもちあわせよう。

金袋・・ずばり!金運。

尾・・何事もしっかりとした終りを!

 

注目の作家さん

井伊 昊嗣(いい こうじ)

1953年京都市左京区生まれ。

1974年に上田恒次氏に製陶法を学び、1976年河井寛次郎氏養嗣子に師事。

 

1985年 第40回新匠工芸会記念展にて「瑠璃釉喰籠」出品入選

1993年・1995年・1997年・1998年・2002年・2003年

伝統工芸近畿支部展入選

1996年・1997年 信楽陶器総合展にて中日新聞社賞受賞

1997年 出石磁器トリエンナーレ入選

1999年 現代文化協会佳作賞受賞

1999年 第10回秀明文化基金賞受賞

2000年 信楽陶器総合展にてびわこ放送社賞受賞

2001年 World Ceramic Expo Icheon Korea 招待出品

2004年 第51回日本伝統工芸展入選

2008年 第7回益子陶芸展入選

 

現在、金沢卯辰山工芸工房講師。

文星芸術大学非常勤講師。

信楽陶燿会会員。

 

高橋由紀子

1982年生まれ。

京都市の嵯峨美術短期大にて陶芸や金工を学んだ。

吉本興業で6年活動後に転身し、土本来の色の違いや顔料を混ぜて作った色土で様々な模様を作り、器やオブジェに練り込む「練り込み」という技法を用いた独特の作風が人気。

 

トリやサカナ、花、波のような模様など、手に取った方が少しでも暖かな気持ちになればという気持ちで製作しています。

 

関西だけでなく、関東でも個展を数多く開催しています。

 

信楽焼の特徴

  • 土の中の鉄分が赤く発色する火色(緋色)のグラデーション
  • 窯の中で焼成中に薪の灰がかかる自然降灰釉(ビードロ釉)と焦げ
  • 石英粒・長石粒・珪砂などの石粒が出た荒い素地の古信楽

焼き物の産地としての信楽の特徴

陶芸の里として多くの観光客が訪れる信楽には、信楽駅前から続く道に「窯元散策路」と呼ばれる20軒ほどの窯元があります。

「ろくろ坂」や「窯場坂」などの散策コースでは、登り窯やギャラリー、伝統産業会館などを見ることができます。

街中の登り窯や屋外に展示されたタヌキの置物や植木鉢に、陶芸の町らしさを感じることができるでしょう。

また、「陶生町」「焼屋町」「大窯町」「問屋町」といった町の名前や、道路に埋め込まれた陶製の道標なども特徴的です。

 

他に100年以上の歴史がある「奥田忠左衛門窯」が中心なった陶芸のテーマパーク、信楽焼を体験できる信楽陶芸村があります。

「たぬき作り」や「灯り作り」などの陶芸体験ができ、昭和9年に作られ全長約22mの登り窯を改装した窯中カフェも営業しています。

全11部屋のカフェで、壁は焼成によって直接火にさらされていたため、赤褐色の緋色や黒褐色で不思議な空間を体験できます。

 

信楽陶苑たぬき村では、約1万匹のタヌキの置物や、日本一大きいタヌキ、タヌキの鳥居などがあり、陶芸体験以外にも楽しむことができます。

信楽高原鐵道信楽駅前の大タヌキの電話ボックスは、季節ごとの衣装でお出迎えしてくれます。

 

観光スポットもたくさんですが、信楽焼の次世代を担う若手従業者のために、『クラフトレジデンス21』を建設し、創造性を高める環境を整えています。

 

まとめ

信楽焼について知っておきたい基礎知識などをご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。

平安時代末期から始まったとされている信楽焼のわび・さびの趣と、縁起の良いタヌキがたくさん見られる街並み、2つの魅力の陶器市など、ぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか。

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