波佐見焼の概要と基礎知識

波佐見焼とは?

波佐見焼は、長崎県東彼杵郡波佐見町付近で産する陶磁器です。

成形、型起こし、釉薬、窯焼きとそれぞれに作業を分担して効率的に生産をしています。

高級だった陶磁器のイメージとは違い、手頃で良質なおうち食器としてカフェや雑貨屋さんなどでも人気です。

 

波佐見焼の陶器市

ここ数年若者を中心に注目を集めている波佐見焼の陶器市、「波佐見陶器まつり」はゴールデンウィークにやきもの公園にて開催されています。

約30万人が来場し、白山陶器・マルヒロのHASAMI・HASAMI PORCELAIN(ハサミポーセリン)・essence(エッセンス)などの人気ブランドは、初日で売り切れるほど大変混雑します。

波佐見焼の歴史とは?

波佐見焼は近年人気の焼き物ですが、歴史は400年以上前にさかのぼります。

朝鮮陶工の李祐慶が、登り窯を築き、はじめは施釉陶器、その後磁器原料の発見から磁器生産をしたことが始まりとされています。

その後大衆向け陶磁器を志向して大量生産に特化し、江戸時代後期には、日本一の磁器生産量となりました。

 

常に新しい技術に取り組みながら、現代の暮らしと食文化に調和した日常食器を作り続け、日用食器の全国シェア12%、またグッドデザイン賞なども受賞し、質の高い製品が作られています。

 

注目の作家さん

森正洋

1927年 佐賀県生まれ。

1946年 陶芸家・松本佩山に師事。

1952年 多摩造形芸術専門学校(現・多摩美術大学)工芸図案科卒。

1856年 白山陶器、後のデザイン室に勤務。

1960年 グッドデザイン賞受賞。

1971年 第1回大倉和親記念財団表彰。

1973年 九州クラフトデザイナー協会第11回展協会賞受賞。

1974年 第1回国井喜太郎産業工芸賞受賞。

1975年 第20回毎日産業デザイン賞受賞。

1975年 イタリア・ファエンツァ国際陶芸展 インダストリアル部門金賞。

1977年 スペイン・バレンシア国際工業デザイン展 陶芸部門金賞。

1978年 白山陶器を退職し、森正洋産業デザイン研究所を設立。

1983年 スペイン・バレンシア第13回国際工業デザイン展 陶芸部門グランプリ。

1999年 日本陶磁協会賞金賞。

2002年 佐賀新聞文化賞受賞。

2004年 勝見勝賞受賞。

2005年 逝去(享年77歳)

 

創業1779年の白山陶器でデザイナーを務め、第1回グッドデザイン賞を受賞したG型しょうゆさしは長く愛されています。

「生活が変わっているのに、ものだけ変わらないなんてことはない」という言葉とともに、生涯をかけてデザインを生み出し続けました。

 

松尾修介

1997年 佐賀県立有田工業高等学校デザイン科卒

2010年 現代工芸美術九州会展 長崎県知事賞受賞。

有田県との県境に釜を構える伝統工芸士を父に持ち、伝統的な雑貨製品・現代のライフスタイルに溶け込む作品など様々に製作しています。

 

独学でろくろ技術を習得し、モノトーンシリーズやカラーラインなどスタイリッシュな作品や、結晶釉の作品など人気が出ています。

 

波佐見焼の特徴

コンプラ瓶

醤油や酒用ボトルとしてオランダ人やポルトガル人を相手にした商人によって輸出。

フランス・ルイ14世が愛用していた、ロシアの文豪とるすといが書斎の一輪挿しにしていたなど、話題が多くあります。

くらわんか碗

「餅くらわんか、酒くらわんか」と言って売られたことから名付けられた器です。

粗い白磁に呉須で模様を描いた器で、大量生産によって庶民に使いやすい磁器碗を作りました。

素朴な中にも謙虚な美しさがあり、一部に熱狂的に愛されています。

日本の器・食文化の発展に大きな影響を与えたとされています。

 

「特徴がないのが、波佐見焼のよさ」

白磁に呉須で絵付けされた染付が特徴の波佐見焼ですが、形にはまった技法がないため、時代に合わせた焼き物が作れることが強みとなっています。

モダンなものが多く作り出されており、形や柄で波佐見焼かどうかを判断することは難しいです。

 

焼き物の産地としての波佐見の特徴

長崎県のほぼ中央にあり、海に囲まれている長崎県で唯一海がありません。

すぐ隣が全国的に知られている有田焼の産地、佐賀県有田町で、一帯が焼き物の産地になっています。

山に囲まれた盆地に、登り窯と瓦屋根の街並みが広がり、レトロ感あふれる癒される場所です。

やきもの公園の一角には、「くらわん館」という波佐見焼の観光物産展があり、焼き物や特産品が割引価格で購入できたり、コンプラ瓶やくらわんか碗などの展示や体験コーナーもあります。

 

また、白山陶器本社ショールームでは機能的で使いやすい器が割引で購入できたり、グッドデザイン賞を受賞したしょうゆさしなどの展示販売も行われています。

壁面に飾られた陶器があちこちにあり、見ごたえ抜群です。

 

ひとりの職人さんが一つのものを作るのではなく、分業制で作られているため、伝統を守り続ける職人気質というよりも、柔軟に文化が受け継がれて町全体がひとつのチームの様な団結力です。

 

まとめ

波佐見焼について知っておきたい基礎知識などをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

おしゃれなカフェや雑貨店で人気の波佐見焼は、レトロなものからモダンなものまでさまざまな器があります。

使いやすい日常の器をぜひ見に行ってみてはいかがでしょうか。

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